アトリエ優  一級建築士事務所   

    
●レトロを演出する。
〜はこざき写真館〜
         
         
         
         
         
         
         
         
   
   
   
  新しい時代を夢見た明治や大正時代の洋式建築は
時の流れの中にたたずみながら現代まで生き残り「レトロ」とよばれています。

      「レトロな建物を造ってほしい」との施主の要望は難問でした。

当時のデザイン感覚をなぞりながら、デザイナーの思いを汲み取る作業の中で、
日本人が夢見た西洋建築は欧米の建築とも、もちろん現代建築とも異なる
「異次元の建物」であると思いました。
 
 
 
 


 
 
近代建築では取り去ってしまった「頭 胴 脚」の要素を持つ「人の姿」のような建物。

銅版屋根とドーマー レンガ積みの壁の間に上げ下げ窓 腰高の基礎 を明確に表現する。

目に停まる付加物としての高い塔と 気持ちのよいバルコニーを最初にイメージしました。
 
 設計当初のイメージスケッチ
 
 
外観
ドーマーの屋根形状 屋根の素材 ドーム屋根形状が変更されていますが、
イメージどおりに仕上がりました。

 
 
 
 
    通りを歩く人の目に停まるための演出として建物にいろいろな付加物がつけられていますが、

はこざき写真館は 2階の眺めのよい談話室を設置しその部分を塔状に飛び出させる表現をしました。
 
 
スケッチ 
 
   
 塔を見上げる
ドーム屋根の頂きには風見鶏
塔内部の談話室
3方に開かれた窓からは通りを見下ろせます。
 
 
 
 
    現代建築は基本的には「面と線」のみでデザインを構成し、機能的でない装飾は取り去っています。
シンプルにすることにより、建物に緊張感が生まれます。

一方 それ以前の建物は、「もの語り性」を大事な要素ととらえ、
そのためには、屋根 壁 窓といった外観を構成するものそれぞれにデザインを施しています。

大振りな装飾は おおらかに 饒舌に語りかけてくれます。
 
設計終了時の完成予想パース 
 
 
 
 
 
 
    屋根は当初の銅版葺きから 天然石(スレート)葺きに変更しています。

但し 棟や隅棟は銅板で覆った形式にしています。

大きく天然石を覆う銅板も装飾の一つで、棟上げをした後
実際の屋根の上に載せてから大きさを決定しました。
   
        ドーム屋根見上げ

スレートのブラックを、縁取りの緑青色包み込む古い手法を
あえて採用しています。
現代では この「縁取り」はあまり好まれませんが、
レトロには大事な要素になっています。 
この天然石は ブラックスレートですが
日本では硯石と呼ばれ、硯はこの石から
作られています。

東北の雄勝地方はその産地として有名で、
明治以来東京駅をはじめ重要な建物には
スレートが屋根材として葺かれてきました。 
 
 
 
    煉瓦は 昔ながらの 「焼きの甘い」煉瓦を使用しています。

本来 煉瓦は構造材として積み上げられているもので、装飾のタイルを貼るのとは異なります。

この建物は木造で、外部にそのまま積み上げると重くなってしまいますので
煉瓦をスライスして使用しました。

重量感、古色とも充分な仕上がりです。
 
 
 
 
    現代建築では取り去ってしまった装飾が、レトロな建物では重要な構成要素です。

軒下の帯状装飾 窓枠 幕板 バルコニーの形状等 豊かな表情を演出しなければなりません。

その大きさ 突出ぶりは 思いのほかのスケールで、グラマーでなければなりません。

部材の太さは 緊張感ではなく おおらかさを醸しだしてくれます。
 設計時のスケッチ
 
   
輸入してきたトイが軒下の装飾と一体となる演出をして軒にふくらみとやわらかさを出しました。

窓周りは 防火の制約がある中で、アルミサッシとは見えない工夫をしています。

腰板は光の陰影で浮き立つよう 突出させています。 
 
 
 
    室内の空間で 天井の高さは重要な要素の一つです。

一般的な住宅では2.4mですが、象徴的な高さがほしいので、60センチ高くして3.0mで設計を進めました。

しかし、それでもまだ高さが不足気味で、途中からさらに30センチさらに高くして、
最終的には3.3mの天井高さにしています。

天井を高くすると 階の高さも上がって 構造 階段の段数 そして費用も変わってきますが
それでも象徴的な空間造りを大事にしたいと考えました。
   
 受付とギャラリー 
     
     
     
     ドアは英国よりアンティークドアを輸入してもらいました。

英国よりアンティークを輸入している 福岡市平和にあるアントレさんのプロデュースによるものです。

手に触れるドアやステンドグラスは 既に80年以上の時代を経たものです。
 
 玄関ドア
ドア下の真鍮板は扉の保護の為、新しく取り付けています。
 
     
 スタッフルームのドア スタジオのドア 
 
 
 
    パネルも英国より輸入してもらいました。
アンティークなパネルは 英国のどこかで同じように室内を温かく包んでくれていたものです。

腰板は本来 壁を保護するものですが、室内空間に重さを与え 落ち着き感が出てきます。
現代では100センチ前後の高さが一般的ですが、高さを強調する為、腰高より高い123センチにしています。
甘いアイボリーの色の塗料を厚く塗り重ねて仕上げています。
パネルはオーク材でできています。

オーク材は英国では一般的に使われる木材で、
豪華な仕上げにはマホガニー材が
カジュアルなときはパイン材が使われます。

オーク材には 「虎斑」という独特の表情があり
虎の模様のようなスジが入っています。 
 
 
 巾木や押え縁も充分な大きさを確保して、
厚い腰板に仕上げています。
 
 
 
    白い壁は緊張させるものですが、角をゆったりと丸め 柔らかな曲線を加えることで
上品で落ち着きある表情になります。

白でも 天井の真っ白とは違い、少しアイボリーを加えた色で仕上げています。
   
 角を丸めて柔らかな印象となった壁 太く大きな額縁を造作し、安定感のある窓にしています。
窓は光を取り入れる「開口」ではなく、光る絵画と考えました。
 
 
 単なる垂れ壁でなく、曲線を加えて表情を持たせた壁
 
 
 
     階段は 室内を演出する重要な要素の一つです。

落ち着いた室内の中で 階段は空間をダイナミックにみせてくれます。

4段までは大きなカーブを描く大理石で、それから重量感のあるオークの階段にしています。

大振りの階段の材料は アメリカより輸入したものです。
   
 緩やかなカーブの大理石階段  スターターの大きな親柱
   
   
 階段は 吹抜の空間に包まれて
2階の待合ホールへと上がっていきます。
 吹抜の天井高さは約6.5mにもなります。
   
   
   
     明治初期には ガス燈から電気の白熱灯へと変わり、
日本ではガス燈による煙たさを部屋の中で体験することはなくなりました。
(昔の建物の天井が異常に高いのは ガス燈の煙たさを避ける意味もあったようです。)

暗い空間に浮かぶ照明は 思いを込めて選んでいます。

シャンデリアは 英国等のアンティークを加工、ペンダントやブラケットは輸入のものです。
     
丸いメダリオンと照明が一体となって、優雅な光になります。
     
       
天井面に装飾を施し
照明の台座としています。 
  ペンダントとメダリオンが一体となって
華やかな印象としています。
 
       
       
       
    2階の待合ホールは 紅い絨毯の華やかな空間です。
折上げ天井にはシャンデリアが浮かびます。
親しみやすいように、1階より少し装飾を抑え気味にしています。

 撮影ラウンジは 一味違ったカジュアルな空間です。
トップライトや 庭のフレンチドアから入ってくる外光が白い空間に溢れます。
レトロな空間とスタジオを繋ぐクッションになっています。
      
     
     
着付けを待つ家族のためのホールです。
絨毯の柔らかい足触りが落ち着きます。
   自然光があふれるラウンジ。
節のある板材を白く塗り、カジュアルな印象としています。
     
     
    レトロな衛生器具はなかなか見かけないものです。

便器や洗面器は現代のものですが、真鍮の鈍い光 タイルや石 カウンターの造作で
雰囲気を伝えようと試みました。
 
       
             トイレ
真鍮の小物 石貼りの床 
腰のパネリングと 
模様が入った便器(T社製) 
                洗面
モザイクタイルのカウンター ブロンズの水栓
ステンドグラスのスクリーンを組み合わせることで
レトロの雰囲気を演出 
       
       
       
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